
サヤカ、シュン、今日は幸せになるための話をしようと思う。
多くの親は自分の子供に幸せになってほしいと願っているものだ。もちろん父さんだってそうだよ。でも幸せって抽象的で、それが何なのかぼんやりとしか分からないから難しいよね。今日はバートランド・ラッセルっていう哲学者の「幸福論」っていう本の内容をヒントにして、幸せにって何なのかについて話をするよ。
不幸の原因
まずは幸せの反対の「不幸」について考えてみよう。ラッセルは不幸な状態とは、自分のことばかりに意識が向いている状態だと考えたんだ。ラッセルはそれを「自己没頭」と呼んでいる。サヤカとシュンが思春期になるころには、他の人が自分のことをどう思っているのか気になるようになると思う。それは誰でもそうなることだから、ある程度しょうがないことなんだけど、他人の眼が気になっている状態って苦しいことなんだ。
ラッセルは自己没頭を次の3つのタイプに分けている。
1.罪びと
2.ナルシスト
3.誇大妄想狂
1つ目だけど、「罪びと」と言っても犯罪とかの悪いことをした人って意味じゃなくて、「自分はダメな人間だ」といつも感じている人のことだよ。子供のころから親に厳しく育てられた人や、理想を押し付けられた人がこうなると言われていて、「自分は基準に達していない」という罪の意識に苦しんでいる人のことだ。難しい言葉では自己不全感っていうんだけど、自分に自信が持てない人って結構世の中にはいると思う。
2つ目のナルシストっていう言葉は知っているでしょ。世間からの賞賛や承認を求め続ける人のことで、簡単に言えば“自分大好き人間”のこと。こういった人は周りからは自信いっぱいで不幸には見えないかもしれないけど、周りからの承認を過度に求めているのは実は自分に自信がないからなんだって。
3つ目の誇大妄想狂っていうのは、権力を異常に求める人で、他人から恐れられる存在になりたいと思っている人のことだ。政治家にはそんな人が多そうだよね。
どうしてこんな人たちになってしまうのかというと、ラッセルによればこういった“不幸な人”には共通点があるっていうんだ。それは、子供時代に正常な満足を得られなかった人で、周りの人、特に親から「あれをしないといけない」「これをしちゃだめ」「がまんしなさい」と言われ続けてきた人が”不幸な人“になる傾向があるそうだ。人間らしい欲求を表に出すことを禁止されたことで、1種類の満足のみを追及する自己没頭人間となるとラッセルは言っているよ。親から認めてもらえたこと、たとえば勉強でいい成績を取ったら褒められたとかだと、頭の良さを追求するようになる。そんな人は「学歴コンプレックス」や「学歴マウント」といって、自分が他の人よりも”いい大学“(偏差値が高い大学)に行ったかどうかを異常に気にしている。父さんもそんな人をときどき見かけることがあって、嫌な奴だなと感じるけど、本当はかわいそうな人なのかもしれないね。
父さんはサヤカとシュンには自由に育ってほしいと思っている。でも、ついつい禁止する言葉を使ってしまうこともあるから、これは反省しないといけないなと思ってる。
幸福をもたらすもの
じゃあ、幸せになるにはどうしたらいいの?って思うよね。ラッセルによると、人生に幸福感をもたらしてくれるものにはいくつかあるけど、その1つは仕事だというんだ。
仕事なんてやりたくないとか、一生遊んで暮らしたいって思う人もいるけど、仕事は人生に充実感を感じるさせてくれるものなんだ。そもそも人間は何もやることがない状態は苦痛を感じる。暇で何もすることがないと面白くないよね。それに人間は自分の成長を感じられることに喜びを感じる生き物なんだ。ゲームやスポーツを思い浮かべたら分かりやすいと思うけど、うまくできなかったことができるようになるとうれしいよね?それは仕事でも同じ。仕事をやっていくには、必要となるスキルのレベルアップ(学び)が必要となるけど、それが喜びにつながるんだ。
また、仕事は必ず世の中の誰かの役に立っている。仕事でお金をもらえるというのは、自分がやったことに対して、誰かが喜んでお金を払ってくれるということだよ。自分の成長を感じられるし、他人からも感謝される、だから仕事は幸せをもたらしてくれるというわけだ。
仕事についてはまだまだ伝えたいことがあるけど、話が長くなるから今日はこれくらいにしておくよ。将来社会に出て、仕事にやりがいを感じられなかったり、なぜ働かないといけないのかって疑問がわいたら、『働く理由』っていうすばらしい本があるから、読んでみてほしい。また機会があったら、その本についても紹介するね。
幸せになるためには
父さんはサヤカとシュンにすごい人になってほしいとか、大金持ちになってほしいとか、そんなことは思ってないんだ。もちろん二人がそれを望むのなら、努力して、社会的な成功を勝ち取る生き方をすることには反対しない。他人からどう思われるかではなく、本心からそうなりたいと思うならね。
でも、お金持ちになったり、世界的に有名な人になったりといった経済的、社会的な成功は幸福の1つの要素に過ぎないということも覚えていてね。そういった派手な人って周りから見ると幸せそうだけど、実際はそうじゃない人って結構多いんだ。そういった人の多くは、家族との生活を犠牲にしたり、健康を犠牲にしていたりする。お金があっても一緒に楽しいことをする友人や家族がいなかったらつまらないだろうし、そもそも病気があったら幸せを感じるのは難しいと思うよ。
サヤカとシュンに気を付けてもらいたいのは、人生にはバランスが大切だってことだ。お金持ちになるといった経済的な成功や有名な人になるといった社会的な成功だけじゃなくて、健康であるとか、家族との時間を大切にするとか、損得と関係なく好きと思える趣味の時間をもつとか、その全てがほどほどにある状態が幸せなんじゃないかと父さんは思うよ。
どう生きたらいいのか迷ったら、折に触れて、自分の心に「自分は何がやりたいのか」って聞いてみるといいよ。「自分の心なんだから何でも知っているよ」と思うかもしれないけど、実はそうじゃないんだ。「自分の心」はある意味、他人のようなもので、仲良くないうちは無口だったり、強がったりして本当の気持ちを教えてくれない。自分ではやりたいと思っていることが、本当は周りから影響されたこと、つまり他人との比較から生まれた願望ということもある。たとえば見栄をはったり、他人と競争ばかりしている人は、“本当にやりたいこと”が分かっていないと思うんだ。だって、自分の行動が他人に縛られているのって不自由な状態でしょ?自分の心と次第に仲良くなると、自分が本当はどうしたいのか分かってくる。だから自分の心に“本当にやりたいことは何?”って問い続けることが必要なんだ。
今日の話はこれでおしまい。またね。
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