サヤカ、シュン、今日は何かがうまくいくこと(成功)と人生の良し・悪しについて話をしようと思う。人は誰でも成功したいと思っているし、失敗するのは嫌なことだ。でも人生ではうまくいかないことはしょっちゅう起こるから、そのたびにガッカリしたり、落ち込んだりする人も多いと思う。父さんも何度もうまくいかないで悔しい思いをしてきたよ。父さんも含めて誰もが一度は「全てがうまくいく人生だったらどんなにいいだろう」と思ったことだろう。でも本当はそうじゃないんじゃないかなという話をしたいと思う。

成功は良いこと?

まずは成功と失敗の定義について考えてみよう。おそらく多くの人が思う成功・失敗というのは、期待していた通りの結果が起こった・起こらなかったということだと思う。自分の思い通りになったら成功、思い通りにならなかったら失敗というわけだ。

じゃあ成功は良いことで失敗は悪いことなのかな?「そんなの当たり前じゃん」と思うかもしれないけど、父さんはそうじゃないと思う。

成功が良いことだとしたら、自分が思った通りにものごとが進めば最高の人生が送れるはずだけど、最初の成功が慢心につながったりして、のちに大きな悪いことを引き起こすこともよくある。10代でオリンピック金メダルを獲った人がその後成績に伸び悩んで苦労するとか、宝くじに当たった人がお金でトラブルを抱えるようになり家庭も経済も破綻してしまうとか、富と名声と得た人が人生の後半でつまずいて転落人生を歩むといったエピソードは数多くある。そういった話を聞くと、父さんは最初の成功は果たして“良いこと”だったのかと疑問に思うんだ。「成功が続けば最高の人生になるはずだから、やっぱり成功=“良いこと”だよ」と言うかもしれないけど、成功し続けることは不可能だし、ある成功は高い確率で別の失敗につながると思うんだ。つまり、ある成功とそれに続く失敗は別々のものではなく一体のものだと思う。

さらに、お金持ちの家に生まれて何でも手に入る人は、お金ですべてを解決しようとして、他人の気持ちを考えないような人になることもある。また生まれつき能力が高い人はそうでない人を見下す態度をとりがちだけど、それは人間が自分を基準にして考える傾向があるからだ。苦労して獲得した能力なら成長途中の人に対して優しくなれるだろうけど、生まれ持った才能を持った人はできない人のことが理解できない。こういった例は、思い通りになる状況が他人の気持ちを理解する機会を奪うといった“悪いこと”を引き起こすこともあるんだということを示している。

また、何かの本で「goodはgreatの敵だ」という言葉を聞いたことがあるけど、ちょっとした良いこと(成功)に満足してしまうと、それ以上のもの(より良いもの)を求めるのをやめてしまったり、成長が止まってしまうということも起こりうる。

こういったことを考えると単純に「成功=良いこと」ということはできないと父さんは思うんだ。

世の中、良いも悪いもない

生きていると楽しいこと、うれしいこと、つらいこと、悲しいことなどいろんなことが起こる。楽しいことやうれしいことは“良いこと”、つらいこと、悲しいことは“悪いこと”と考えられがちだけど、そういった考えは人間が短期的にその出来事を解釈した結果に過ぎないと父さんは思っている。だけど長期的に見て、ある出来事の意味が何であるかを人間はその時点で知る術を持たないため、多くの人は1つ1つの出来事に一喜一憂してしまうんだ。

人間は将来を正しく予測できないから、限られた時間での出来事から今起こっている状態を“成功”や“失敗”と判断する。でも、良いと思ったことが悪いことにつながるかもしれないし、悪いと思ったことが良いことにつながるかもしれない。同じ内容は以前、ユダヤ教に伝わるタルムードのお話でも紹介したよね。

究極的には世の中で起こることには良い・悪いといった”色”はついていなくて、すべて中立なんだと父さんは考えている。そこに色(意味)を見出しているのはあくまでも人間の側なんだ。

まとめ

“良いこと”が起こったらもちろん喜べばいい。だけど調子に乗りすぎないことや慎重さを忘れないことも大切だ。“悪いこと”が起こったら一時的に落ち込んでも構わない。でもこれが将来、何かいいことにつながるんだと信じて前向きになれれば、自分が成長する機会にできると思う。サヤカとシュンには“良いこと”も“悪いこと”も受け入れて生きる姿勢を身につけてもらいたいと思っている。

今日の話はこれでおしまい。じゃあ、またね。