
今日は『働かないアリに意義がある』という本を紹介しようと思う。この本はアリの生態を研究している長谷川英祐という人が書いた本だ。
サヤカとシュンも働きアリがいるのは知っていると思う。「アリとキリギリス」の童話にあるようにアリは働き者というイメージがあるよね。
でも実は、働きアリの2割は働かずに“サボっている”という話なんだ。面白そうだろう?では内容に入っていこう。
働くアリと働かないアリの違い
著者の長谷川さんによると、普段働いていないアリはサボっているわけじゃなく、巣の修繕や新しいエサの発見など突発的な仕事をするために「休んで」いるそうなんだ。
また、働くアリと働かないアリの違いは、反応閾値の違いとして説明できるそうだ。反応閾値とは、何かに対して反応するための刺激の強さのことだけど、これに個体差があるというんだ。反応閾値が低い個体は小さな刺激(環境変化)に反応して行動(仕事)を始めるのに対し、反応閾値が高い個体は刺激が大きくなるまで仕事を始めない。つまり働かないアリは、怠けて働いていないのではなく、鈍くて働くべきことに気付かないわけだ。
人間でもきれい好きの人とそうでない人がいるけど、それはどのくらい部屋(周りの環境)が汚くても気にならないかという感性の違いによるものだと考えられる。父さんは普段、部屋を散らかっていても気にならないけど、母さんはすぐに気になって掃除をするよね。だけど、父さんは決して掃除を「さぼっている」わけじゃないよ。結婚する前、一人暮らしをしていたときは、“ものすごく”部屋が汚くなったら掃除をやっていたからね(笑)。
バカな個体がいるほうが組織としてうまくいく
他にも面白い話がある。アリは行列を作って食べ物を巣に運ぶけど、なかにはルートを間違える「バカな」アリがいるらしい。
でも時として、その間違いのなかから最初のルートより効率的なルートが見つかることもあるんだそうだ。いつも同じでは新しいことは見つからないけど、周りとは違うことをする個体が偶然、よりよい方法を見つけることがあるわけだ。科学でも失敗から思いがけない発見がなされることがあるけど、それも同じようなことかもしれないね。
均一な集団はもろい
また研究によると、遺伝的に同質な個体の集団は、特定の伝染病に対して抵抗性が弱く、コロニーが滅びやすいんだそうだ。
さらに、遺伝的に同質な個体からなる集団は、個体間で反応閾値の変異を作り出すことができないため、分業がスムーズにいかないらしい。全ての個体が必要な仕事をしていたのでは突然の変化が起こった時にそれに対応する個体がいないけれど、普段働いていない余力をもった個体がいれば突発的に必要となった仕事をやってくれる。つまり、余力がある社会のほうが長い目で見て持続すると言えるんだ。
まとめ~アリから学べる教訓~
この本を読んで感じたことだけど、人間はアリから以下のようなことを学べると思う。
- みんなと同じことをする個体ばかりではダメ
- 人と違うことをする人がいるから、新しい発見があり、進歩もする
- 多様性がある社会のほうが長い目で見て持続する
最後に父さんが好きなマーク・トウェインの言葉を紹介しよう。
People are different. And it is best that way. (Mark Twain, 1835–1910)

父さんが昔、宿泊したサンフランシスコにあるマークトウェインホテルには、この言葉が書かれた窓がある。これを見たのはもう10年以上前だけど、その時からずっと記憶に残っている言葉なんだ。人間社会でも“規格品”ばかりではダメで、真面目に仕事をする人、なかなか行動を起こさない人、能力の高い人、低い人、協調性のある人、とがった人などいろんな個性が必要ということだ。
サヤカとシュンも他人との違いを恐れずに、自分らしく生きてほしい。


