
サヤカ、シュン、今日は『僕は君たちに武器を配りたい』という本を紹介しよう。なんだか物騒なタイトルの本だけど、これからの時代を生きていくために必要な知識が詰まった本なんだ。今日はエッセンス部分を紹介しようと思うけど、もし今日の話を聞いてこの本に興味が湧いたら実際に手にして読んでほしい。
著者はどんな人?
著者の瀧本哲史さんは東京大学法学部を卒業後、大学助手を経て、有名なコンサルタント会社マッキンゼーに勤務、その後、独立して負債を抱えた企業を再生させる経営コンサルタントとして活躍、さらに京都大学の客員准教授として大学で学生に経営について教えていた人だ。残念ながら2019年に47歳の若さで亡くなってしまった。
今日紹介する本は、大学生などの若者に向けて、これからの世界を生き抜くために必要な知恵(武器)について書いたものだ。学生だけでなく多くの社会人から共感を集めて話題になった本なんだ。きっとサヤカとシュンにもいつか役に立つはずだ。
本書の結論を簡潔に言うと、これからの時代は「投資家的」に考えて生きることが大切だということだ。投資家的に考えるとは、自分の時間や労力、そして才能を何につぎ込めば、そのリターンとしてマネタイズ(=資金回収)できるのかを第一に考えることで、自分の強みを活かして社会に働きかけることで対価を得なさいと言い換えることができると思う。
じゃあ、これからこの本で父さんが重要だと思ったところを2点に絞って話そう。
スペシャリティが生き残る

経済学の概念にコモディティという言葉がある。市場に出回っている商品が、消費者から見て、どのメーカーのものでも大差がなくなった状態を「コモディティ化した商品」と呼ぶんだけど、つまりは「個性がないもの」は全てコモディティということだ。
コモディティ化するのは物だけじゃない。人材もコモディティ化する。マクドナルドのアルバイトなど、マニュアルが整備されていて誰でもすぐに同じように働くことができる職種のことを「マックジョブ」と呼んだりする。マックジョブ(=誰でもできること)を職業としている人はまさにコモディティ化した人材というわけだ。雇う側は、真面目に働いてくれる人であれば誰でも良くて、できるだけ低賃金で人を雇おうとする。
この“コモディティ”の対極にあるのが“スペシャリティ”だ。スペシャリティとは専門性、特殊性などを意味する言葉で、要するに「他の人では代替できない、唯一の人物(とその仕事)」のことだ。以前から、「周りの人から必要とされる人になりなさい」と言ってきたと思うけど、スペシャリティとはまさにそういう人だ。
これからの時代、マニュアル化された業務はAIに取って代わられると言われているから、そのような職種がなくなってしまう可能性も大いにある。だからこれからの時代を生き残るためには、他の人にはできないスキルや能力(スペシャリティ)を身に付けておく必要があるんだ。「他の人にはできない」と言っても、世界一になる必要はない。前にも言ったけど、得意なことであれば学年で一番というくらい(つまり100人に1人)の能力は身に付けることができるはずだ。
マネージメントできる人が生き残る

この本では「儲かる漁師」という例え話で5つの働き方を紹介している。これは、ただ人に使われるだけの「コモディティ化した漁師」(=「儲からない漁師」)とは違う働き方として紹介されているものだ。
5つの働き方とは以下の5つだ。
- とれた魚を他の場所に運んで売ることができる漁師(トレーダー)
- 1人でたくさんの魚をとるスキルを持っている漁師(職人)
- 高く売れる魚を作り出すことができる漁師(職人・マーケター)
- 魚をとる新たな仕組みを作り出す漁師(発明家)
- 多くの漁師を配下に持つ、漁師集団のリーダー(リーダー)
①は海で取れたものを山など魚が取れない場所に持っていけば高く売れるということだし、②は魚釣りが他の人よりうまい人だ。③はおいしい料理とその作り方を知っている人だし、④は道具などを開発して効率的に魚を釣る方法を生み出す人だ。そして⑤は自分が漁に出るのではなく、他の漁師を部下として指示を出す人だ。なんとなく分かったと思うけど、これらのうちで大きく成功できるのは⑤「漁師集団のリーダー」だ。
どんなに能力が高い人でも、1日の時間はみんな平等だから、一人でできることには限りがある。それに対して、他人を雇って働いてもらえば、人を増やすことでいくらでも成果を出すことができる。もちろん成果が出るような仕組みを作ったり、人がうまく働いてくれるようにマネージメントすることは必要だけどね。
真面目な人は努力して自分の能力を高めようとするだろう。もちろんそれも大切だけど、自分一人で大きく成功することは不可能なんだ。協力してくれる仲間を見つけて、一緒に働くことが必要になる。そしてリーダーとして仲間をまとめられる(マネージメントできる)スキルを持っている人は大きな成功を手に入れられるんだ。
実際に社会的に大きく成功している人は、人を使うこと(マネージメント)が上手だ。アメリカの歴史に鉄鋼王として名が残っているアンドリュー・カーネギーの墓碑には「己よりも優れた者に働いてもらう方法を知る男、ここに眠る(Here lies one who knew how to get around him men who were cleverer than himself.)」と刻まれている。まさにマネージメントが巨万の富を生むことを物語っているよね。
さいごに
今日は本のエッセンスだけを紹介したけど、これからの時代を生きるために必要な心構えを教えてくれる貴重な一冊だから、ぜひ手に取って読んでほしい。
今日の話はこれでおしまい。じゃあ、またね。


