
今日は前回に引き続き『世界のエリートが実践する、心を磨く11のレッスン』の内容を紹介しようと思います。今日紹介するのは人間の心が成長していく5つの段階というもので、スピリチュアル的な内容を含みますがとても奥深いものだと思います。
心の成長には5段階ある

本書によると、人間の心の成長段階には5つのステージがあるそうです。その5ステージは以下の5つです。
- 自己昇華&自己鍛錬のステージ
- セルフ・エンパワーメントのステージ
- 自己を知るステージ
- セルフ・トランセンデンスのステージ
- セルフ・リアリゼーションのステージ
低い方から順番にステージが上がっていくわけですが、すべての人が第5ステージまで至るわけではありません。むしろ第1,第2ステージで一生を終える人も多くいるのではないかと思います。
それでは、それぞれのステージの内容について説明していきましょう。
第1段階:自己昇華&自己鍛錬

このステージは、自己中心的な考えをやめて社会性を身に付ける段階です。たとえば親や周りの人に迷惑をかけていた人(不良)が社会に出て他人と協力するようになったり、他人に迷惑をかけていた自分を反省して、「人として正しい道」を進むのがこの段階です。もちろん、別に一度道を踏み外す必要はなく、最初から学校教育など社会になじんで真面目に暮らしてきた人は、すでにこの段階にあると言えます。
このステージにある人の特徴として、社会に適合する「良い人」ではあるけど、世間一般のルールや、親や立場が上の人が言うことに疑問を持たず、盲目的に従っています。戦後の学校教育は社会で真面目に働く人を育てるという目的で制定されたものだと言われていますが、学校教育的な優等生はまさにこの段階にいる人間です。「良い人」かもしれませんが、権力者から見たら統率しやすい「都合の良い」人間というわけです。
第2段階:セルフエンパワーメント

このステージにある人は、自分が成長することに目覚め、「成功者になりたい」「自分の能力を高めたい」と思うようになります。経済的な自由を勝ち取って、誰にも縛られず自由に楽しい人生を生きたいという最近流行のFIRE(経済的独立&早期リタイヤ)を目指す人の多くもこの段階にあると言えるでしょう。
このステージにある人の特徴は自分で人生を決めている自主性が芽生えるということです。さきほどの第1段階では他人に決断をゆだねていたけど、この段階になると既存のルールに盲目的に従うのではなく、自分で自分の人生を決めていくというはっきりとした意志が備わってきます。このように自分に自信や自己肯定感を持ち、自由と独立を求めることを「セルフ・エンパワーメント」と呼びます。このような人の中から、社会的に成功して富を得る人が出てきます。
しかし、一方で問題点もあります。それは他人との競争でずっと勝ち続けることはできないため、成功することで感じられる幸福は長続きしないということです。また、たとえ有名になったりお金持ちになってもすぐに人間はその状態に慣れてしまって、それが当たり前と感じるようになるから、すぐに幸福感は消えていきます。さらにいったん手にした富や名声を失いたくないという恐怖心が出てくるでしょう。最終的に「社会で成功する」というのは、「自分の人生を生きる」ということとは違うと感じるようになります。その気づきが次の段階へ進むきっかけとなります。
第3段階:自己を知る

このステージに入ると「人生の目的」とか「生まれてきた意味」を考えるようになります。富や名声といった世間一般の成功ではなく、「本当の幸せとは何か」を考えるようになるのもこの段階です。
このステージに入った人は自分を内面から見つめるようになり、人生の苦悩や満たされない思いが自意識(エゴセルフ)が作り上げた理想像によるものだと気づき始めます。これについては前回話したとおりです。
心の奥から生まれる充足感や幸福感は、お金や地位といった外部にはないことを悟り、その源泉が自分の内側にあることに気づき始めます。簡単に言うと、「外面的な成功」から「内面的な成功」へシフトするのがこの段階です。そしてスピリチュアルや仏教思想などの精神世界へ関心を持つ人も出てきます。
実際、ビジネスなどで成功を収めた人たちが、がむしゃらに頑張り続けた結果、健康を害したり、家族を失ったりして、社会的な成功の先には期待していたような幸せがないことを知ることでこの段階に至るケースはよくあるそうです。
この段階に来ると、本当の意味での自信が持てるようになります。自分に欠点があってもそれを認められるし、自分の強さも弱さも「受け入れる」ことができるようになります。自分は今の状態でOKだと思えるようになるわけです。これが前回話した「スルースキル」です。そして、この状態に至った人は本当の意味での自信を持っており、精神的にとても強い状態にあります。
第4段階:セルフ・トランセンデンス / 第5段階:セルフ・リアリゼーション

第4段階と第5段階はスピリチュアルでかなり抽象的なもので、理解するのは難しいかもしれません(私も完全に理解しているわけではありません)。また、第4段階は第5段階へ至る過渡期のような段階ですので、両者を合わせて説明しようと思います。
第4段階からは「自分個人」を超えたステージとなります。ここでは「私」という存在と周囲のものが「別個のもの」ではなく「全ては1つ」という感覚が生まれ始めると言います。第5段階に至ると完全に自他という区別がなくなり、「全ては1つ」という一体感(ワンネスOneness)がある状態になります。時間も空間もすべて1つだと言います。
自分と宇宙全体がつながっている、そして「私」とはその宇宙を包む「意識」そのものであり、そこには生も死もない。時間の流れもなく、永遠で幸福(平静)が続く。喜びに流されることもなければ、苦痛に苦しむこともない。成功などポジティブなことに興奮することもなければ、失敗などネガティブなことに屈辱を感じることもない。そのような状態だと著者は言います。
そして静寂な心で、ただすべての目撃者となるとき、私たちは「しないこと(Non-doership)」を経験するようになると述べられています。これは特に理解するのが難しいところですが、私たちの本質(意識)は、例えるなら映画館で「私の人生」についての映像を見ている観客のようなもので、ただ静かにすべての物事を見ているだけの存在なんだということです。観客の気持ちや考えが、映像の中の人物に影響を及ぼすことがないように、私たちはただ目の前で繰り広げられている様々な出来事の流れをただ目撃しているだけなのです。意識がこの状態になると、出来事のつながりは自然と生まれ、すべての物事は楽に流れるようになると著者は言います。自然に会うべき人と会い、問題に直面したときには自然とベストな決断をしていくことができます。この状態になると「人生は奇跡の連続である」と悟るに至ります。これがセルフ・リアリゼーションの境地です。
この段階まで至る人はごく少数でしょう。私もこの第4、第5段階の状態を理解できているわけではありません。また一時的に第4、第5のステージの状態に至ったとしても、そこに居続けることは不可能だと著者は言います。どんなに心が成長した人でも、ときに第3段階や第2段階に戻ることがあります。それでもすぐに第4、第5段階に戻れるのなら心はちゃんと成長しているので問題ないそうです。いろいろなステージを行ったり来たりするなかで、少しずつ第4段階と第5段階の割合が増えていけばいいのだと著者は言います。
まとめ
心の成長について5つのステージを紹介してきましたが、自分がこの5つのうち今どこに位置しているかを把握することが大切です。現状の自分がこれからどこに向かおうとしているのかを知ることは、幸せな人生を送る上で良い手がかりになるはずです。
最後に5つの段階をまとめておきます。
第1段階
社会的に正しい人になろうとする段階。権力やルールへの盲目的な服従があるだけで、そこに「人間とは何か」「本当の自分とは何か」といった哲学的な深い思考はない。
第2段階
自己啓発の段階。自分の人生は自分で決めていくという意識を持ち始め、富や成功を得る人も出てくる。しかしこの段階で得た幸福感は長続きしない。
第3段階
幸福の鍵は、富や社会的な成功など外部にはなく、自分の内側にあることに気づく段階。「人生の目的」や「本当の幸せとは何か」といった哲学的な思考を始める。自分の強さも弱さも受け入れることができるようになる。このレベルになると外部の出来事(外部要因)(成功や失敗など)に心を乱されることが少なくなる。
第4・5段階
どんな状況でも潜在的な自己肯定感があり、人生が希望にあふれている段階。最終的に私は「意識」そのものである、という感覚になり、自分と他人、人間と動植物、生物とモノといった境界がなくなり「全ては1つ」というワンネス(Oneness)の意識となる。いろいろなプロセスを「ただ目撃しているだけ」の状態となり、「しないこと(Non-doership)」という境地に達する。
さいごに
いかがだったでしょうか。第3段階までは多くの人も理解し納得できるのではないかと思いますが、第4,5段階については判断が分かれるところではないでしょうか。全く理解できないという人もいれば、何となくそうかもしれないと感じる人もいるのではないかと思います。スピリチュアル的な話を毛嫌いする人がいることは知っていますが、現代科学で説明できないことが全て「間違い」というわけではありません。人は自分が理解できないものを否定したくなる心理を持っているものですが、自分が理解できないものに対して否定も肯定もせず、「もしかしたらそうかもしれないな」とニュートラルな立場でいられることは、その人の幅を広げることにつながると私は思っています。

ちなみにですが、哲学者のスピノザはこの宇宙に存在するものは全て神の表現であり、すべては1つの意識の表れだと言っています。そこでは自分や他人、動植物や無機物とった区別はなく、すべては神という1つの意識が様々なかたちで表現されているに過ぎないと言っています。そして驚くべきことに、20世紀最大の天才アインシュタインはこのスピノザの世界観を信じているとはっきり述べています。全ては1つというワンネス(Oneness)の考えは、人類史上最高の知性を持った人も認めている考え方だというのは、記憶にとどめておく価値があると思います。


