今日は、日本記憶力選手権で6年連続日本一になった池田義博さんの著書「脳にまかせる勉強法」を読んで、重要だと感じたところや役に立つ勉強法についてまとめてみようと思います。それでは早速、見ていきましょう。

脳は重要なものしか記憶したがらない

何かを記憶するには、それを覚えておくことが重要なことだと脳に判断してもらう必要があるそうです。なぜなら脳の神経細胞の数は有限で記憶できる情報量にも限りがあるから、脳は不必要な情報は記憶しようとしない性質があるからです。脳は自分にとって重要なことだけを記憶しようとします。その選別をしているのが脳の奥のほうにある海馬という場所だそうです。海馬がどの情報を記憶に残すかどうかを決めているということが神経科学の研究から分かっています。だから何かを記憶したいなら、「これは重要なことだ」と脳を“だます”必要があると著者は言います。

忘れるのは仕方がないこと

自分は記憶が苦手だと思っている人は多いけれど、人がものごとを忘れていくのは脳自体がそういう仕組みになっているから当たり前のことです。

心理学者エビングハウスの有名な記憶研究によると、人は何かを覚えてから1時間経つと約半分の内容を忘れてしまう。そして次の日になると4分の3ほどの記憶が失われることが分かっています。一度覚えたと思っても時間が経てばその記憶は薄れていきます。だから勉強内容を1回で覚えるのは不可能なのです。

忘れるのは脳の仕組み上、仕方がないことなので忘れていくことを嘆いても意味がありません。忘却に抵抗する一番の方法は復習することだから、忘れてしまうことを嘆くより、復習することに力を入れるのが大事だと著者は言います。復習を繰り返せば、忘れていく割合が小さくなっていき、最終的に「記憶した」状態になるわけです。

記憶は脳にまかせる

多くの人は「これを1回で覚えるぞ!」と意気込んで勉強しても結局覚えられなかった(忘れてしまった)ことに落ち込み、「自分は記憶力が悪い」と間違った考えをもつようになってしまいがちです。

でも記憶することに「根性」はいらないと著者は言います。記憶は“脳が勝手にやってくれる”もので、覚える作業を繰り返せば記憶は自然に起こる。自分は情報を入力するという作業をするだけで、記憶は脳にまかせるという気持ちをもって淡々と勉強(作業)を繰り返せば着実に覚えていける。というのが著者の主張です。

これはとても面白く、参考になる考えだなと思いました。たしかに、車好きであれば車の名前、アイドルオタクであれば好きなアイドルの名前など、好きなことは「覚えよう」と意気込まなくても、いつの間にか自然に覚えているものです。これは好きなことに対しては、意識しなくても自ら自然に何度も触れる機会をもつからだと考えられます。だから記憶に重要なのは、記憶しようという根性や意気込みではなく、単純に回数と言えるかもしれません。

記憶のための鍵は「集中」と「回数」

最初に脳は重要なことしか覚えようとしないと言いましたが、覚えたい内容が重要なことだと脳に判断してもらうには、自分が「本気で覚えたい」と思っていることを脳に伝える必要があります。そして「本気度」を脳に伝えるためのカギは「集中」と「回数」だと著者は言います。

まず、何かを覚えるときには環境を整えて集中する必要があります。ながら勉強のように何か別のことをしながら覚えようとしたものは海馬が不要な情報だと判断するので、すぐに忘れてしまいます。

また、何度も繰り返して覚えようとする必要があります。脳は何回も入ってくる情報に対しては「重要な情報に違いない」と判断します。だから何かを記憶するには何回も繰り返し情報を入力することが必要となります。

まとめると、①本気で集中して、②復習の回数を多くしてやれば、自然に記憶されていくということです。

記憶とはペンキ塗りのようなもの

では効率的な勉強法とはどのようなものでしょう。

何かを記憶することはペンキ塗りのようなものだと著者は言います。壁などをペンキで塗るとき、一回塗っただけでは色ムラができてしまうから、何度も重ね塗りして厚みを増す必要があります。記憶もそれと似たように、一回情報を頭に入れただけでは「薄い記憶」でしかなく、すぐに忘れてしまいます。それを何度も“塗り直す”ことで「厚い記憶」にしていくイメージです。

たとえば100個の単語を、4時間かけて1日で覚えるのと、1日1時間4日かけて覚えるのでは、勉強時間は同じでも後者の方が圧倒的に単語を覚えられるという結果になるそうです。覚えた直後は大きな差はありませんが、学習後時間が経ってからテストすると後者の勉強法のほうが思い出せる単語数がはるかに多いそうです。

ある教科の勉強などもっと範囲が広いものであれば、まず学習している科目の全範囲を一通り終わらせ、それを何度も繰り返すのが効率的な勉強法だと言います。1つ1つの単元を完璧にしてから、次に進むという方法では、たとえその単元が一時的に完璧になったとしても、次の単元を勉強しているうちにその内容を忘れていってしまうからです。最初は不十分な理解でもいいから、一通り全体を学び、また最初から復習し繰り返し学ぶことで、次第に理解の穴を埋めていく。そしてそれと同時に記憶を定着させていく。これが理解と記憶を同時に進める効率的のいい勉強法というわけです。

3サイクル反復速習法

最後に著者が紹介しているおすすめの勉強法である「3サイクル反復速習法」を紹介しようと思います。

  1. まず最初のページを勉強し終えたら、そこに〇印をつけます。この〇(一重丸)は1回目の学習が終わった印です。
  2. つぎに同じページを再度勉強(復習)して、〇を◎印にします。◎(二重丸)が2回目の勉強をした印になります。
  3. そうしたら2ページ目に進みます。2ページ目(1回目)の勉強をしたら〇印をつけます。
  4. 再び1ページ目に戻り、三度目の勉強をして✓印をつけます。
  5. 2ページ目に戻り、2回目の勉強をして◎をつけます。
  6. 3ページ目に進みます(以下続く)。

まとめると、最初のページ(学習単位)を連続2回勉強して◎印になったら次のページに進みます。次のページを1度勉強し〇を付けたら前のページに戻って3回目の学習をする(そして✓など終了の印をつける)。この流れを繰り返していくわけです。ここでは1ページごとでの説明でしたが、数ページや章・セクションを1つの単位としても構いません。

ページ(学習単位)番号と印の関係をまとめると以下のようになります。

1(〇) → 1(◎) → 2(〇) → 1(✓) → 2(◎) → 3(〇) → 2(✓) → 3(◎) → 4(〇) → 3(✓) → 4(◎) → 5(〇) → ・・・

さいごに

本書には3サイクル反復速習法のほかにもハイスピード学習法や1分間ライティングなど、別の勉強法も紹介されていますので、気になった方は本書を手にとってみてください。